読書の森

熊本の読書屋さん兼サラリーマンが、気持ちの乗った書評と、読書グッズ、読書環境、読書ニュースのことについて書いています。

リブライズが誰でも本屋さんごっこができるサービスをリリースしたので、本とコミュニティについて考えてみた

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こんにちは、本貴典(ほんたかのり) @dokusho_mori です。

前々から感じていたこと。僕は「本を読むこと」よりも「本の内容を人と語り合うこと」が好きだ、ということです。
一人で本を読むのもいいけど、本を持ち寄ったり本を紹介し合ったり、わからないところを相談しあったり、本を使ってそんなコミュニティがつくれたらいいなあと思っています。

僕だけではなく、本好きの方なら自分で図書館や本屋をやってみたいと思ったことはあるのではないでしょうか?

リブライズさんはWindows/Macとバーコードリーダーだけで、みんなが集まる場所の本棚を図書館にできるというサービスをしています。
このサービスを活用することにより、「図書館をつくる」、ということは本当に簡単にできるようになりました。

そんなリブライズさんより、
9月3日、こんなリリースがされました。

medium.com


図書館だけでなく、本屋もできるようになるのか!これは面白い!となぜか感動してしまったので、本とコミュニティについて考えてみることにしました。

本+コミュニティの場が増えている

ここ最近、本+コミュニティに関する面白い動きが日本各地で起きているので、いくつかの事例をご紹介します。

アークヒルズライブラリー

“SHARE”をテーマに、アークヒルズの新たな「知」の発信基地としてライフ&ワークスタイルを提案します。
都内23区からの移動に便利な赤坂という立地、また全机への電源・館内Wi-Fiを完備し自習室やカフェのように利用できる機能性、地上37階からの眺望を前に最新書籍をゆっくりと読める心地よさ。それぞれの用途にあわせて、3つの空間と機能をご利用いただけます。

1つ目は赤坂にあるアークヒルズライブラリー
会員制ライブラリーの図書館で月額9,000円の会員のみ使用することができます。
2,000冊の蔵書がありますが貸出はなし。
書籍は定価の10%引きで購入ができるという仕組みになっています。
会員限定のイベントや、メンバー限定のコミュニティに参加ができるという特典があります。

単なる有料の図書館というだけでなく、コミュニティに「参加する」ということに従来の図書館にはない意味合いがありそうです。

森の図書室

morinotosyoshitsu.com

『渋谷に夜の図書室をつくること』を夢見た森さんが、
2014年にクラウドファンディングで当時最多の1737人のパトロンからの支援を受け設立したこの「森の図書室」。

森の図書室は、
本が読めて、借りられる。
お酒が飲める。
そんな場所です。

読書を押しつけるのではなく、なんとなく本を手に取ってみたくなるような、
友達の家のように気軽な空間を目指しています。

本が好きな人。
これから本を読んでみようかな、と思っている人。
よかったら遊びに来てください。

本に囲まれてお酒を飲むことができるという本好きにとっては夢のような空間です。
公共図書館でやったら怒られてしまうようなこともこの森の図書室ではできるのです。
小説に出てくる料理のメニューもあります。

※現在は閉店しているそうです。

まちライブラリー

machi-library.org

場所をつくって、
呼びかけてみんなで本を持ち寄る。
持ち寄った本には寄贈者情報&寄贈者からのメッセージを記入!
次に読んだ人が、感想を連ねていく!
本をきっかけにちょっとしたお話ができたり!
本棚を囲んでお茶会をしたり!
みなさんが持ち寄っていただいた本が集まり、その場に独自の本棚ができる!
本をきっけにつながりが生まれます。

メッセージをつけた本を媒介にしたコミュニティ、というのがまちライブラリーです。

月に1回(原則第3土曜日)「本とバルの日」では、地域の方を中心に集まり、映画を見たり、お話を聞いたり、音楽を楽しんだりした後においしい手料理をみんなでいただくなどコミュニティの場として機能しています。

日本国内・国外に620軒ほどのまちライブラリーがすでに登録されています。(2018年9月現在)

まちライブラリーについてはこちらの本に詳しく書いています。

本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた

本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた

本屋ごっこをはじめたリブライズのこと

本屋さんごっこというものの今回のこのサービスをつかうと、「本屋さん」はすぐに始めることができそうです。


本屋ごっこについての詳しい説明はこのあたり。

medium.com

今まで、新刊を販売することは、継続的な運営の難しさに加えて、契約手続きや初期在庫の費用負担のほか、準備段階からハードルの高いものでした。「リブライズ ブックストアβ版」はその課題を解決し、カフェやコワーキングスペース、企業オフィスなどのどこでも「本屋さんごっこ」ができるようになります。

本屋さんを始めるにあたってのハードルをぐっと下げることができるので、
場を持っていれば誰でも本屋さんを始めることができることになった、と言えそうです。


リブライズ共同代表の地藏真作はこんなことを言っています。

medium.com

「本屋さんごっこ」と謳ってはいるが、日本で流通しているほとんどの本を扱うことができ、決済システムも組み込まれている。売れ残りリスクを減らすために、オンラインで買った本を場所に持ち込むというスタイルを採ったが、もちろん本を仕入れることもできるので「低リスクで誰でも本屋さんを始められるサービス」としての最小限の形は整えられたと思う。

ぼくたちのスタンスは、「リブライズを使って、本のある場所を自由に作り上げて欲しい」である。本を使ったサービスはかくあるべしと言う宣言をするのではなく、利用される方が思うように場所を作り上げる手助けをすることが最も重要だ。リブライズはあくまでも「道具」である。サービス利用者の幅広さも、「道具」に徹することで得られているのではないかと自負している。

事例でご紹介したまちライブラリーのノウハウや、リブライズというツールを活用して、本+コミュニティの場は格段に作りやすくなってきました。

リアルの体験の価値が高まる

今後の本屋さんや図書館はどうなっていくのでしょうか。
www.itmedia.co.jp

こちらの記事にあるように書籍の売上は13年連続で低下しています。
出版不況と言われ、国内の市場も小さくなっている中、昔の売上を単純に取り戻すということは難しいでしょう。

今回ご紹介した事例から考えられるのは、本の世界においても、リアルの体験の価値が今後より高まっていくということ。
これまで読書といえば、どちらかというと「家で一人で読むもの」でしたが、今後は1つの場所でみんなで本を読むということや、本の読み方自体にも大きな変化が生まれてくるのではと思っています。

なんにせよ、僕にとって、楽しく本を読みたいという思いは変わりません。

今後も楽しく本を読み続けたいと思います。

マイクロ・ライブラリー図鑑〜全国に広がる個人図書館の活動と514のスポット一覧 (まちライブラリー文庫)

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  • 作者: 礒井純充,マイクロ・ライブラリーサミット2013実行委員会
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マイクロ・ライブラリー 人とまちをつなぐ小さな図書館

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