読書の森

熊本の読書屋さん兼サラリーマンが、気持ちの乗った書評と、読書グッズ、読書環境、読書ニュースのことについて書いています。

三鷹にある無人の古本屋さんが気になるのでいってみた。無人なのにほっこりと温かい空間がそこにはあった。

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こんにちは。熊本県在住のほんたかのり @dokusho_mori です。

東京 三鷹に無人の古本屋さんがあるという。
www.itmedia.co.jp


この記事を読んで気になって、居ても立ってもいられなくなったので、実際に見に行ってきました。
一言で言うと、無人なのにほっこりと温かい空間があって、面白かった。


三鷹にある無人古本屋 BOOK ROAD とは

www.bookroad.jp

JR三鷹駅 北口から徒歩10分 三谷通り商店街
住所:東京都武蔵野市西久保2丁目14-6

先ほどの記事などを参考に特徴を簡単にまとめてみた。

  • JR三鷹駅徒歩10分 三谷通り商店街にある2坪の店舗
  • 4つの棚に500冊ほどの本が並んでいる
  • 店内には誰もいない。レジも置いていない。
  • 24時間営業で扉にはカギもない。
  • 店は2013年4月にオープンして黒字を確保。
  • 300円と500円のカプセルトイ本体が設置。
  • 本の後ろに価格が記載。値段分のカプセルを購入すれば会計は終わり。
  • カプセルの中にビニール袋が入っている。
  • なぜビニール袋を入れているのかというと、お客さんは「自分はお金を払って古本を買った。このことを誰かに伝えたい」と感じるから。
  • オーナーは大手IT企業勤務。古本屋は店舗を用いた無人販売が成立するかという社会実験がしたく副業として手掛けている
  • 野菜の無人販売を参考にして「人の善意」で成り立つシステムを考案。
  • 「席を譲らないような人や本を好きでない人などが来られると、ちょっと困る。」「駅から少し遠くて、地元の人しか知らないようなところ」として三鷹駅から徒歩15分の商店街内に店を構えた。
  • 最初は、出勤する前に店を開けて、家に戻る前に店を閉める――といった形で運営。しんどくなったのでカギを閉めないことに。特に問題が起きなかったので、その後も365日24時間営業を続けてみている。
  • このような立地条件を考えると、本を盗むような人は来店しないのではないか。
  • 店の看板は掲げていない。
  • 本の仕入れは、自分で買って読み終わった本と、店に箱を設置していて誰かがそこに本を置いてくれる。

だいたいこんなところが主な特徴かな。

気になる方は他の記事もどうぞ。

yadokari.net
headlines.yahoo.co.jp
media.housecom.jp

店内の様子。少しだけ写真を撮りました。

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商店街の路面沿いに急に表れる店舗。看板はない。

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こんな感じの本棚が壁沿いにぐるりと設置してある。

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本の買い方を説明するためのもの。これが妙に温かみがあっていいなあ。


三鷹にある無人の古本屋さん「BOOK ROAD」の店内の様子

無人の古本屋さんは田舎でも転用することは可能なのか

上記の記事によると、オーナーは

離島や山小屋など、「そこに書店があっても成立しないでしょ」と思われるようなところで、運営すると面白いかもしれません。山小屋であれば、山小屋に送って、誰かに運営してもらう。本が物理的にあることはすごくいいことだと思っているので、無人販売のアイデアは使えるんじゃないかなあと。

ということを言っています。

僕自身は現在熊本県の人口30,000人くらいの市町村に住んでいます。
東京に住んでいた頃は、新刊書店や古本屋さんは近くにあり、本屋さん自体がかなり身近な存在でした。
先日も東京から所要で鎌倉の方に行った際に、ふらっと入った古本屋さんでふらっと本を買い、電車移動中にのんびりと読む、といった方法で、偶然出会った本屋で偶然に出会った本を楽しむということができました。

現在住んでいる熊本県ではまず歩いていける範囲にはスーパーの中に入っている新刊書店が1店あるのみ。
他の本屋には車を使わないといくことができません。
熊本駅近辺には面白い本屋がたくさんあるものの、生活圏内にふらっと立ち寄れる本屋がすくないというのはかなり不便なものです。


今回、この無人古本屋を見に行って僕も山奥や離島でこういった取り組みを実際にやっていたいと思いました。
本業を持っている人がやってみるということは、「BOOK ROAD」のような形態の無人の古本屋さんをやってみることは、始めるためのハードルも低いし、継続のためのハードルも低い。何より単純に面白いなと感じます。

「BOOK ROAD」を見に行って印象的だったことは2点。

  1. まさに「人の善意」で成り立つシステムで、無人なのに人のぬくもりを感じた。
  2. 三谷通り商店街が思ったより人通りが多かった。

①まさに「人の善意」で成り立つシステムで、無人なのに人のぬくもりを感じた。

特に象徴的だったのが、壁に貼ってある「本の買い方」を説明する絵と、カプセルトイ本体。

「無人であること」と「ぬくもり感」って、相反するものだと思うのですが、この2つがあると自然と童心に返ります。
悪いことをしてはいけないのではないかという気にさせられました。

②三谷通り商店街が思ったより人通りが多かった。

記事を読んでいた印象だと、三鷹駅より徒歩10分の三谷通り商店街は、人通りもあまりないようなところなのかと思っていました。
実際行ってみると、近くにスーパーマーケットがあったり、オシャレな珈琲屋さんや居酒屋さんがあったり、しっかりとした商店街という印象でした。

日曜日の昼頃に行ったからなのか、買い物に来ている主婦や街にでかけていく親子など人通りもかなり多かったというのが正直なところです。人の流れがあるなあと。

また駅から10分という立地から、移動の中心となるのが駅まで歩く+電車で移動であると思われます。
地方の場合、特に熊本県の場合は公共交通機関が弱いため、駅を中心にした徒歩での経済圏というのはあまり発達していません。
そのような人通りの少ない場所でも「無人の古本屋」というシステムは成り立つのかが気になったところです。

田舎でこんな本屋をやってみたい。

熊本県小国町ぶ無人のブックスタンド「山川文庫」があります。
山川文庫って?yamakawabunko.wordpress.com

山川文庫は、野菜の無人販売所に本棚をつけたという形で、本を販売しているというわけではなく、古本屋というよりは本を使ったコミュニケーションの場として機能しているように思えます。


離島や山小屋で公共財として本屋機能を作っていくには、「BOOK ROAD型」では人通りが少なすぎて成り立つのか不安、「山川文庫型」ではコスト0・利益0だけど持続性に問題があるように思えます。

うまくバランスをとった仕組みを田舎で展開していけたら面白いなと感じたところです。


あまりまとまってませんが、このへんで。