読書の森

熊本の読書屋さん兼サラリーマンが、気持ちの乗った書評と、読書グッズ、読書環境、読書ニュースのことについて書いています。

走りたいけどモチベーションが上がらない人ははこの本を読め。とにかく走りたくなる。村上春樹ファン以外も騙されたと思って読んでほしい。

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こんにちは、本貴典(ほんたかのり)@dokusho_mori です。

熊本の読書屋さんと勝手に名乗ってまして、読書情報を発信しております。

読書といえば、「読書の秋」。読書に最適なシーズンとなりました。
暑すぎず、寒すぎず、夜も長くて、なんだか本が読みたくなる、そんな季節が読書の「秋」なんだなあとしみじみ思います。

と同時に、この気候。どうしても運動もしたくなります。
暑すぎず、寒すぎず、そして空気が気持ちいい。

「日頃の運動不足を解消したい」そんな気持ちはあるけれど、なんだか面倒くさい。なんとかならないだろうか。
そう思う方は、僕以外にも多くいらっしゃるのではないでしょうか。

今回、村上春樹著『走ることについて語るときに僕の語ること』を読んで、とにかく外に出て走りだしたい!そんな衝動が押さえきれなくなってしまったので、ご紹介します。

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

実は、僕は村上春樹さんの本自体はあまり読んだことがありません。
なんというか食わず嫌いというか。読んだのは、『TVピープル』くらいです。
そんな村上春樹シロウトの僕でもはまってしまったこの本、村上春樹ファンの方以外にもぜひ読んでいただきたいです。

本の内容

『走ることについて語るときに僕の語ること』(はしることについてかたるときにぼくのかたること)は、村上春樹のエッセイ集(村上は「メモワール」(回顧録)と呼んでいる)。
(引用:Wikipediaより)

『ノルウェイの森』、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、『ねじまき鳥クロニクル』、『海辺のカフカ』、『1Q84』など様々な国内外で人気の小説家村上春樹さんは、国内外のマラソン大会に多く出場しているなど熱心なランナーであることも有名です。
この本では、村上春樹さんの小説家としてのキャリアと「走ること」がどれだけ関連していたかが述べられているもので、走っている時に何を考えているのか、フルマラソンやウルトラマラソンを走ったその先にはどんな気持ちになるかなど詳細に書かれています。

1983年のアテネ-マラトン間での初マラソンの回想、2005年度ニューヨークシティマラソンの準備期間などの想いをつづる。そして自身の小説家としてのキャリアが、いかに「走ること」と連関していたかを述べる。
小説を書くきっかけとなった神宮球場でのデーゲーム、群像新人賞受賞、ジャズ喫茶の経営と小説の執筆を振り返りつつ、小説家の資質に必要なのはまず才能としながらも、集中力を持続させるための体力が不可欠だと考える。そのために、自身の孤独を好む性格にフィットし、特に場所を選ばない長距離走を選んだ。そして村上は「走ること」にさまざまな思いを抱えながらも、それを四半世紀ほど一貫して続けてきた。
作家=ランナーとしての村上春樹の側面が垣間見られる作品である。
(引用:Wikipediaより)

とにかく「走る」ことに対して真摯に向き合っている村上春樹さん、本を読み始めた直後からその世界に引き込まれていきます。

とにかく走り出したくなる

本書で印象的だったところをいくつかご紹介します。

今日は疲れていて走りたくないということだってある。だからあらかじめ週に一日くらいは「お休み」の日を設定しておくわけだ。それで週に60キロ、一ヶ月におおよそ260キロという数字が、僕にとっては「まじめに走る」ことのいちおうの目安になる。

小説を書くことは、フル・マラソンを走るのに似ている。基本的なことで言えば、創作者にとって、そのモチベーションは自らの中に静かに存在するものであって、外部にかたちや基準を求めるべきではない。

昨日の自分をわずかにでも乗り越えていくこと、それがより重要なのだ。長距離走において勝つべき相手がいるとすれば、それは過去の自分自身なのだから。

小説のちょっとしたアイデアが頭にふと浮かぶこともある。でもそれにもかかわらず、実際にはまともなことはほとんど何も考えていない。
僕は走りながら、ただ走っている。僕は原則的には空白の中を走っている。逆の言い方をすれば、空白を獲得するために走っている

「瀬古さんくらいのレベルのランナーでも、今日はなんか走りたくないな、いやだなあ、家でこのまま寝てたいなあ、と思うようなことってあるんですか?」と質問してみた。瀬古さんは文字通り目をむいた。そして<なんちゅう馬鹿な質問をするんだ>という声で「当たり前じゃないですか。そんなのしょっちゅうですよ!」と言った。

単純に、すごくないですか!?

あれだけの小説を生み出しなら、走ることにもこれだけ真剣に向き合っている。
1日10キロ、約1時間走っているというのにも驚きです。

なぜそれだけ走るのか、疑問だったのですが、村上さんがなぜ走るのか、何を考えて走るのか、紡いでいく言葉ひとつひとつを読んでいくと、走ることってこんなにすばらしいのかと思います。

37キロあたりで、何もかもがつくづくいやになってしまう。ああ、もういやだ。これ以上走りたくなんかない。

リアルですよね。この感情の動き。
弱さを乗り越えた先に、何があるのか、体験してみたくなります。

実際に走ってみた

この本を読み、村上春樹さんの走ることへの真摯な想いに触れ、僕もいても立ってもいられずランニングに行きたくなりました。

着替えてすぐに走りにいく。

走っているときは、いろんなことを考えます。5kmしか走っていないので、時間にして30分弱。
走り慣れていない僕にとっては、30分というのはとても長く感じます。
15分くらいで息が上がり、足も重くなり、汗も吹き出てくきます。
きつい、とにかくきつい。

でも、走り終えたときの達成感と爽快感はすごい。

本を読んで、やる気を出して、走ってみて本当によかったと思います。

やる気を出すためのスイッチとして使いたい

今回、ご紹介した村上春樹著『走ることについて語るときに僕の語ること』。

村上さんの小説家という仕事と走ることに対する真摯な想いを読み、継続することがどれだけ大変でよいことがあるのか、そしてただ単に走ることがどれだけ楽しいのか、というのを感じずにはいられません。

単純にこの本を読むと、走りたくなります。

仕事や勉強もそうですが、「継続」というのは非常にむずかしいもの。
続けなくてはいけない理由は少ないけど、
「体調が悪い」「天気が悪い」「上司が悪い」などやめてしまう理由はいくらでもあるもの。

僕の場合、継続しなくてはいけないことをやめてしまいたくなったとき、
この本を読んでやる気のスイッチを入れていきたいと思います。

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

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